布団大好き!

日記や所感など

3月29日

2階のエレベーターホールで一人でエレベーターを待っていたら、推しが来て、「おはようございます」と挨拶だけ交わして二人きりで執務室のあるフロアまで昇りました。

そんなことってある?

別々の経路で示し合わせもせずに出勤している推しとエレベーターかち合うって奇跡ですよ。推しは業務開始が9時じゃないこともあるし、出勤途中のどこかで顔を合わせたらその日はとても運がいいってレベル。まして二人きりなんて今までただの一度だってなかった。

神様が最後にいい思いをさせてくれたのかもしれませんね。

そんなこの日は、1年半勤めたこの会社の最終出勤日でした。

 

先月くらいから指折り数えて恐れていた日がとうとう来てしまいました。昨日、皆の前で推しから花束を、仲良かった上司からプレゼントを手渡されました。

最終日の今日は残念ながらその仲良かった上司はお休みだったのですが、推しと、一番優しい上司Kさんと、いつも穏やかでかわいい上司Yさんがいて、一番かわいがってくれた先輩たちがいました。最後の日が今日でよかったな、と思いました。

私は1月から3月まででこの実績を作る、と決めていた目標があったのですが、Kさんに確認してもらったらそれを余裕を持ってクリアしていたので嬉しかったです。

そういえば昼休みに寝ていたら偶然少し後ろの席にKさんがいました。はじめて休憩中に話しかけて、ちょっと話した。もう次の日から会うことなんてないのに、また明日があるような感じでなんてことない話をして不思議だなと思った。これも今までにない偶然でしたね。最後の日にこんな偶然が重なるなんて不思議。

いつもみたいに終業時刻ぎりぎりまで仕事して、片づけをしていたら離れた席に座っていたYさんがきて、Yさんに挨拶しようとした時に決壊して大泣きしてしまった。

それから、推しに挨拶しました。推しが「よく頑張っていたと思うよ。研修の飲み込みも早かったし、数字も一番だったし。本当にお疲れ様でした」って言ってくれて、今ここで死んでしまえたらどんなに良いだろうな、と思いました。

それから後のことは、よく覚えていません。でも、一度も話したこともないような違うチームのお局さんたちが、お疲れさま、と言ってくれて、嬉しかった。学生ということもあって悪口言ってくるお局もいたけど、こうして認めてくれる人がいたんだって最後の日にやっとわかる。

 

苦しい。

 

 

ウェブで応募してから初めて電話をくれたのは推しでした。本当はインバウンドチームに応募していたのですがそこの人数がちょうど埋まってしまっていて、でもアウトバウンドのチームが人数が足りないから来ないか、っていう。

ぜひ、と答えるとさっそく面接の日程を組んでくれて、ミーティングルームで面接して。推しと、五島さん、それから研修チームの社員さんがいました。

採用の連絡をくれたのも推しだったなあ。

 

入社してからの私は研修の覚えがいいことで有名になったけど、おばさんばかりの職場は最初どこに身を置いたらいいのかわからないような戸惑いもあった。でも初期研修を終えて部署の研修に入ると、部署の先輩みんなが下の名前で呼んでくれて、結局試用期間を終える頃にはバイトが大好きになっていた。

 

仕事を覚えて初めての挫折は3月頭。ハードクレームに引っかかって散々怒られて電話切って大泣き。その時フォローしてくれたのがRさんと推しと五島さんと珠さんだった。

みんながフォローしてくれて、でも推しは慰めるだけじゃなくて助言をくれて。

誰かの隣にいるなら先輩のようになりたいと思ったし、上に立つなら推しのような人になりたいと思った。そして、一オペレーターとして二度と同じ失敗をしないと誓った。

その月から私は実績の一番を今日まで誰にも譲らなかった。

 

推しは無愛想で冷たかったけど、たまに、ものすごい量の仕事を言いつけて、私が爆速で終わらせると「え、もう終わったの。流石だね」と言ってくれるのが好きだった。

五島さんは推しと少し似ていて、私のことをとてもかわいがってくれて、よく冗談みたいな会話をした。五島さんと話すのが好きだった。

上原さんは一番優しかった。バレエの疲れや偏頭痛で体調が悪い時に、気付いてくれるのは上原さんだった。体調悪いですか?無理しないでいいですからね、って。面白いのが、上原さんがそう言ってくれる日に限ってとっても忙しかったことね。結局私も上原さんも休まずゴリゴリに仕事してやっと退勤、ってなる日だったな。

 

 

ほんとにこの会社が大好きでした。同じ部署の人は全員私よりずっと年上だったけど、仲良くしてくれて、かわいがってくれて、ありがたかったなあ。社員さんもみんなかわいがってくれて。私が実績を出し始めてからは、信頼もしてくれて。

同じような毎日の繰り返し、同じような仕事をずっと何件も処理していくようなそういう職種だったけど、同じ日は一日もなくて、どの日も二度とない大切な日だった。すべてが大切で愛おしかった。大好きだった。

もうこんなに恵まれた環境なんて二度と出会えないかもしれないけど、それでも仕方ないと思えるくらい幸せな1年半でした。

仕事も周りの人も大好きだった。1年半なんてあまりに短かった。もっともっと数字を出して貢献できるようになりたかった。

 

クレームにかかった時の2倍は泣いた。どれだけ泣いても悲しかった。今まで生きてきた中でこれより苦しいことなんてなかった、と思う。

悲しくて苦しくてこのまま死んでしまいたいと思った。どうして時間は流れるんだろう、こんなにもこの場所を愛おしく思っても、時間が流れていくんだろう。

どうして、

終わってほしくないものばかり、終わってしまうんだろう。

もうこんな思いをするくらいなら誰も何も好きになりたくない、嫌な職場だったらどんなに良かったのにと思うけど、それでも、出会えてよかったと思うのをやめられない。

それがどうしようもなく苦しかった。

 

数日経った今、目が覚めた瞬間に涙が溢れるような悲しみは過ぎた。きっと私はあの会社のない毎日をゆっくりと受け入れていくんだと思う。そうやって生きてきた。生きていく。

 

見慣れた執務室も、毎朝唱和したコールセンターミッションも、休憩室の風景も、先輩たちの顔も、私がそこにいたことも、

そこで努力して、信頼を得たことも

こんなの嘘なんじゃないかってくらい、周りのみんなに愛して大切にしてもらえたことも

その場所を、人を、私が焦がれるほど愛していたことも

きっと忘れない。もうあの場所と出会う前の私には戻れない。だから、私が死ぬまで、あの場所は私の中にずっとある。

 

それは苦しいけれど、きっと悲しいことなんかじゃない。