映画「秒速5センチメートル」の感想
「どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか」
言わずと知れた名作「秒速5センチメートル」、恥ずかしながら今まで見たことがなかったので、先日見ました。
恋愛の話ってくらいしか知らなかったから、もう終わった瞬間「マジ???!?!?」ってなってしまったね。こんな恐ろしい話ってある?恋愛映画じゃなくてホラー映画にカテゴライズした方がいいんじゃない?
辛いとか切ないとかそういう言葉で表現したくない…恐ろしくて美しくてどうしようもなく怖かった。
でも本当に見てよかったなと思うから、見たことない人は見てほしいな。アマプラで見れます。
「言の葉の庭」見た時も思ったけど、新海誠さんは昔の作品の方が好みだなあ。
印象に残った台詞を書いていく。感想にネタバレを含みます。
第二話「コスモナウト」の花苗の独白。
「それでもまだ、遠野くんの姿を見るたびに、もっと好きになっていってしまって、それが怖くて毎日が苦しくて、でも会える度に幸せで、自分でもどうしようもなかった」
「私が遠野くんに望むことは、きっと叶わない。それでも、それでも私は、遠野くんのことを、きっと明日も明後日もその先も、やっぱりどうしようもなく好きなんだと思う」
わかりすぎて号泣したし頷きすぎて首もげそう。自分も(誰とは言わないけど)好きな人のこと好きな時ずっとずっとこういう気持ちで、どうやっても好きでいるしかなくて、それが辛くて幸せなんだよな。
第三話「秒速5センチメートル」の貴樹の独白。
「この数年間、とにかく前に進みたくて、届かないものに手を触れたくて、それが具体的に何を指すのかも、ほとんど強迫的とも言えるその思いが、どこから湧いてくるのかもわからず、僕はただ働き続け、気付けば、日々弾力を失っていく心が、ひたすら辛かった。
そしてある朝、かつてあれほどまでに真剣で切実だった思いが、綺麗に失われていることに僕は気づき、もう限界だと知った時、会社を辞めた。」
もうこれが無理だった。私の考えでは、途方もなく遠くにいる明里に近付こうと藻掻くエネルギーを仕事にぶつけることで転化して生きていたけれども、働くことが明里に近付くことに繋がると自分自身の心を騙し続けることがもはや限界になってしまったんではないかなと思った。
でももう明里はどれだけの速さで走っても、手を伸ばしても、何通メールを送っても届かない場所に行ってしまったわけじゃないですか。もう貴樹は明里を諦めた世界で生きるしかないんだよね。
残酷すぎる。
あの桜の舞い落ちるオープニングから誰がこんな結末を予想できるのか?
何にせよ恐ろしい映画だった。。
映画見ただけで何言ってんだって感じだけど、自分は(自分の精神世界の中にあるスノードームに閉じ込められずに)幸せになりたいものだ、と思ってしまった。