中村航『僕の好きな人が、よく眠れますように』を読む

 

ツイッターで「誰か私の好みに合うであろう本を教えてくれ」というひどい乞食をしたら早稲田の文化構想に通っている読書家のお姉さまが中村航の本を薦めてくれたので読んだ。中村航の作品は今まで読んだことがなかったので、機会があれば他の作品も読んでみたい。

この作品の良さが分からなかったという感想を延々と書いてるので嫌な人はここで終わってください。私が良さを分からなかっただけで、出版されて本屋に並んでいるこの本は多くの人が価値を認めた本だし、中村航さんは作家として何冊も本を出せているのだからすばらしい作家さんだと思います。断じて貶すつもりはないのです。私は「良さが分からなかった」という感想も自分にとっては残す価値があると思ってるので、悪しからず。

 

この本のストーリーはこんな感じである。東京の理系大学で研究をしている大学院生である主人公の「僕」は北海道から一年間のゲスト研究員としてやってきた斎藤恵「めぐ」に一目惚れしてしまう。めぐは既婚者だったが、研究室で時間を過ごすうちに、お互いに惹かれあっていき、ついには付き合ってしまう。あらすじここまで。

結末としては、半同棲みたいな状態になっためぐが北海道に帰省し、寂しさのあまり(?)妹と一緒に東京タワーを見に来た僕がプチ願掛けに失敗して涙を流すところで終わる。

 

感想は私にはよく分からなかったというところに尽きる。文章は綺麗だと思うし、会話文が多いからするする読める。けどストーリーがどこへ向かっているのか終始分からないままで、結末も結局煮え切らないなあと思う。最後のシーンは僕とめぐの恋が上手くいかないことを暗示しているように見えるけど、それにしては切なさだとか寂しさだとかやりきれなさだとかそういったものの描写が足りないし、暗喩表現としてもパワー不足を感じる。

僕が迷っている時に何かしらの助けをしてくれる木戸さんという登場人物いるが、こいつもなんだかよく分からない。必要性を感じないとまでは言わないけど、やはりパワー不足というか、物語や舞台装置全体にフワフワした頼りなさを感じる。自分はもっと強く作者の意図を感じられる物語が好きなんだろうなと知った。

この記事を書きながら自分の好きな作品とこの作品の読後感の違いを考えていたんだけど、「好きだ」と思った作品は作品全体を通してのテーマを自分にとって明確に感じられるものが多かった。ざっくり言うと許しだとか、救いだとか、絆とか、既存の世界観の崩壊とか、そんな感じで「こういうテーマだな」と自分なりに解釈できるものを好んでいる。この作品からはテーマを読み取ることができなかったからモヤモヤした読後感が残ったんだろうな。

つまりテーマが分かればもう少しマシな読み方ができると思うので、いつか誰かに教えてもらってもう一度読もうと思います(笑)

 

次回はテーマを絞って何かの本の感想を書きたい。