晴れ

 

春休みはおおむねずっと家にいた。家と教習所を往復して、週2日バイトして、残りの時間はバレエの発表会のDVDを見ていた。

あと数日で教習所は卒業だ。適性検査結果に反して運転に優れていた私なので卒業が遅れることはまずないだろう。学科試験もほぼ満点、車線変更も右左折転回も駐車も完璧。もちろん指導教官のお陰であることは言うまでもない。

敢えて指名制度も忌避指名制度も使わなかったが、当たりの指導員は本当に当たりだった。どれくらいすごいかというと、当たり指導員の語り口を真似してバイトの授業をしたら生徒から大ウケだった。彼らのあの人当たりの良さはどこから来ているんだろう?人に教える仕事が天職なんだろうなという感じはするが、自動車教習所だけなんてもったいないと思った。もっと評価されてほしい。ひとまず私は見習いたい。

 

都内にあまり出ない生活は移動時間のロスがなくなってゆったりしていた。お陰で考えすぎるくらい考える時間を持つことができた。バレエのこと、今までのこと、これからのこと。煮詰まってどうしようもなくなったら掃除機をかけた。家中の隅から隅までほとんど毎日掃除機をかけていたら家の中がやけに綺麗になった。それでも心が晴れない日もあった。

私がいなくなってからの発表会を6年分くらい見た。それからまた私が出た最後の発表会を見たら今までにない感情が湧き上がってきた。今まで意識していなかった「私もその上の学年も小学生だ」ということを強く感じた。つまり今までは年齢を意識せず、ずっと心の中に張り付いているものとして見ていたけれど、それらがすべて過去のものだということをようやく実感できたということ。すべて過去のことだった。もう終わったことだ。私はまだ過去から目を話すことができないし、どこへ向かえばいいのかも分からないままだけど、それは大きな収穫だったように思う。たぶん、バレエから離れていた10年間を心の底から肯定することができれば終わるんだと思う。そう、お分かりだろうか。私はこの期に及んで、まだ過去にこだわっている。